動態解析技術を活用した消費者の行動傾向解析

動態解析を活用したマーケティングの一例として、スーパーや百貨店における消費者行動の分析があります。AIを活用すれば、スーパーや百貨店の店舗内に設置したカメラ映像から消費者の行動傾向を知ることができるのです。

マーケティング分野でも活躍するAI

AIはマーケティング分野においても広く活用されはじめています。
ユーザー分析、ユーザー対応、レコメンド、広告など、様々な面でAIが利用されていますが、これらはAIが蓄積したユーザーの属性、行動などのデータからパターンや特徴を見出し、その情報を利用した活用法です。例えば、顧客情報やアンケートなどの文字情報から傾向を分析する「テキストマイニング」が知られています。

さらに昨今ではコンピューターの処理速度向上と高速通信の普及によって、文字情報より遥かにデータ量の大きな画像や動画を活用した解析手法も登場しています。たとえば「人物の動作、行動」をカメラ(動画)で読み取り、マーケティングに活用できるのもAIの強みです。動画に映った人や物の動きなど、時間経過に伴う変化を調べる技術を「動態解析」と呼んでいます。

動態解析を活用したマーケティングの一例として、スーパーや百貨店における消費者行動の分析があります。
これまでも人の目で消費者の動きを追跡しマーケティングに活用しようという試みが行われてきましたが、1つのカメラに写る複数の人、大量の時間のデータを人力で見るのには限界がありました。しかしAIを活用すれば、スーパーや百貨店の店舗内に設置したカメラ映像から消費者の行動傾向を知ることができるのです。

AIが解決できること

下記の画像はAIが歩行者を解析している様子ですが、このように人物の顔・手・足などの動きをそれぞれパーツ別に読み取り、その動きと学習させたデータを照合、分析することで何をしようとしているのかを特定できるのが動態解析です。
人物の動作、行動の解析

人物の何気ない仕草やわずかな癖を捉えるには高度な観察眼を要しますが、機械ならデジタルデータのわずかな違いを区別できます。遠くから人物を写した一枚の写真ではその人が誰かを特定できなくとも、「歩き方」や「姿勢」といった連続した動きの中に特徴があれば、人物の特定や傾向を分析できるのです。

一見、人がデータを分析するよりも適切な答えを導き出してくれそうなAIにも苦手なことはあります。例えば想定外のことを予測することです。そういったAIの苦手とする部分は人間が補う必要があります。しかし人の手によるデータ分析と合わせてAIを活用すれば、これまで人力では得られなかったデータを効率よく大量に収集し、人の目では見つけられなかったパターンや特徴を発見できる可能性があります。
マーケティングにAIを取り入れる場合、人間とAI、互いの得意分野を活かした使い分けが重要といえるでしょう。

動態解析技術を活用した消費者行動の解析

そのような人物の動作や特徴を捉える動態解析技術なら、様々なマーケティングに活用可能です。
例えば冒頭で例として挙げたスーパーや百貨店における消費者行動の分析に動態解析を取り入れる場合、下記のような消費者の行動傾向を知ることができます。

・商品陳列棚付近を通る消費者が商品に注目して立ち止まっているか、興味を示さず通過したか
・商品陳列棚の前に立った消費者が商品を手にとったあと、カートに入れたのか、それとも一度手にとって陳列棚に戻したのか
・対象商品陳列棚の前にどれほどの時間滞在したか
・対象商品陳列棚の前に何度現れたか

これにより店舗内導線の最適化や、陳列商品の最適化などの判断に役立てることができます。リピート購入する、しないだけでなく「しようとしていた」消費者の傾向も分析できるでしょう。
動態解析技術は万引きなどの犯罪行為を行う際に見受けられる特徴的な挙動の識別も可能なため、合わせてリアルタイムで万引きの可能性を検知することで犯罪抑止にも役立てられます。
消費者行動解析の活用例

また対象の消費者がどのような外見であるかもマーケティングにとって貴重な情報となりますが、こちらもAIによって検出が可能です。例えば「半袖を着用している」「ロングヘアである」「時計を身に着けている」など、性別や同伴者数だけでなく具体的な消費者の情報を収集することで、よりピンポイントなマーケティングが可能です。
もちろん、これらの情報は個人情報にあたる場合もあるため、個人が特定できない形に加工するなどの配慮も重要となります。

まとめ

動態解析技術はその他にも、工場などでの作業状況の分析、作業ミス検知、不審人物検出、侵入検知、スポーツにおけるフォーム、スピードなどの比較など、様々な分野で活用することができます。

マーケティング分野においても、AIを利用する業種やユーザー層によって最適な手法は異なります。貴社の業務にAIをどのように活用できるか、弊社は企画からお手伝いいたします。まずは相談からで構いません。当サイト内のお問い合わせフォームもしくは電話番号より、お気軽にお問い合わせください。